手首が「パキッ」と鳴る原因と正体
①手首が鳴るメカニズム
まずはじめに、音が鳴ることは絶対的に悪いわけではありません。
ただし、無理やりに鳴らすことは捻挫などの怪我に発展する可能性もありますので注意が必要です。
１）キャビテーション
手首などの関節を動かした時に「パキッ」「ポキポキ」と鳴るのは、関節包内の圧力が瞬時に変化し、滑液内に溶けたガス（二酸化炭素や窒素）が気泡化し、その気泡が破裂した音と考えられています。
これを「キャビテーション」と言い、関節を開いたり伸ばす動作をした時に生じやすく、滑液包が摩擦を和らげる役割と連動して起こります。
また、一度鳴った関節は20分ほど同じ音が鳴りにくくなる「不応期」というものが存在します。
これは再び関節液内にガスが溶け込むまでに時間がかかるためです。
２）関節のゆるみと可動域
関節の可動域を超える動作、もしくは関節が生まれつき弛緩性（ゆるみ）が強い場合、手首周囲の靭帯や筋肉が支えきれず、ズレや摩擦が生じて「パキッ」という音が鳴ることがあります。
ダンスやヨガ、体操選手のように柔軟性が高い方でも、ゆるみが原因で痛みが発生することがありますので、ただ柔らかいだけではなく、締めていくようなアプロートも必要です。
３）腱や筋肉の摩擦・損傷
これは腱や筋肉が骨や関節を擦る時に起きる摩擦音。
特に前腕の筋肉が緊張すると、手首の動きに合わせて「ギシギシ」と雪を踏みしめたような音が鳴ることがあり、腱に損傷が発生している可能性もあります。
腱鞘炎や使いすぎによる炎症で音が目立つこともありますので注意が必要です。
４）加齢・変形によるもの
関節自体が変形した場合や、加齢で滑液量が減り、関節面の滑らかさが損なわれると、パキパキ音の頻度が増す傾向があります。これは主に高齢者に多く見られます。
手首が「パキッ」と鳴る原因と正体
②ポキポキ音の医学的解説
１）安全なケースと危険なケース
医学的には、痛みや腫れといった症状がなければ、関節の「パキッ」「ポキポキ」音自体が健康に直ちに悪影響を及ぼすことはないと考えられています。
滑液包内の気泡現象は、本質的に生理的なものです。
しかし、腱や筋肉の摩擦音・靭帯の損傷が疑われる場合は注意が必要です。
とくに、可動域を超えた無理な動作や捻挫の後遺症で靭帯が伸びている場合、関節が「ゆるい」ことで再発リスクや二次的な損傷を招きやすくなります。
２）「関節弛緩性」のチェック
・親指が腕に付く
・肘や膝が過度に反る
・指が腕と平行になるほど反る
・足首が45度以上、上に曲がる
これら3つ以上当てはまる場合、関節弛緩性（全身の関節がゆるい）が疑われ、負荷に対して弱くなりがちです。
手首が「パキッ」と鳴る原因と正体
③痛みや重症例に発展する可能性はあるのか
※痛みがなくても油断は禁物
音のみで痛みがない場合は深刻なリスクは低いですが、関節に繰り返し強い力をかけ続けたり、習慣的に強く鳴らすことで炎症や靭帯損傷につながることがあるため注意しましょう。
【痛みや腫れ、違和感がある時】
下記のような症状がある場合は早めに医療機関に相談しましょう。
・手首を動かすたびに痛みが走る
・腫れている
・熱感がある
・握力や可動域が低下
・不安定で力が入らない
手首の小指側にあるTFCC（三角線維軟骨複合体）の損傷や腱鞘炎、変形性関節症では、音と同時に痛みや動作障害が起きることが特徴です。
適切なリハビリやセルフケア、場合によっては画像診断（MRIなど）が必要となります。
手首が「パキッ」と鳴る原因と正体
今回のまとめ
手首が「パキッ」と鳴る主な原因は、関節内の気泡発生（キャビテーション）や可動域や靭帯のゆるみ、腱・筋肉の摩擦、加齢による関節変形など様々です。
痛みや腫れがなければ多くは心配ありませんが、症状が出た場合は放置せず、病院や整形外科、整骨院にご相談するようにしてください。
また、普段から腕のストレッチやセルフケアを心がけて関節の負担を少なくしましょう。
日常の正しい使い方で、手首を守ることが大切です。
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